【国際】「シリア人同士で対話した方が、政治解決に導きやすい」 シリア内戦、反体制派に「米国離れ」

シリア内戦の勢力図
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 【カイロ=奥田哲平】二〇一一年から続くシリア内戦を巡り、アサド政権軍は南西部をほぼ奪還し、国土の六割を統治下に置いた。反体制派の投降を決定付けたのは、内戦への関与の度合いを弱めようとする米国のトランプ政権の姿勢だ。北東部を支配するクルド人勢力も「米国離れ」を模索し、アサド政権側との関係改善に動きだしている。

 「米国の軍事介入を前提にした決定をするべきではない」。シリア南西部を拠点にした反体制派「自由シリア軍」(FSA)の傘下組織幹部サイード・セイフ氏によると、米国は政権軍の進攻に合わせ、こうした見解を反体制派に伝えた。近隣諸国にも救援を要請したが、拒否されたという。

 親米国家イスラエルとヨルダンに接する南西部では、米国がFSAを武器と資金供与で支え、昨年七月に米ロが設置した安全地帯として戦闘が避けられてきた。だが、六月下旬に政権軍が合意を破る形で進攻し、ロシアも空爆を再開。米国の方針が流れを変え、反体制派はロシア仲介の停戦に応じ、セイフ氏は「主役はわれわれではなかった。米ロの了解で、南西部が政権軍に明け渡されるのだと悟った」という。

 トランプ米大統領は今年四月、過激派組織「イスラム国」(IS)掃討のためシリアに駐留する米軍について「死と破壊以外、得るものはない」と早期撤退を検討する考えを表明。国防総省などの反対で具体化していないものの、米国の負担を極力回避し、内戦後の秩序形成を主導しない姿勢の表れと言えそうだ。

 一方、国土の四分の一に及ぶ実効支配地域を持つクルド人勢力も岐路に立たされている。IS掃討作戦を通じて後ろ盾となった米国が関与を薄めるのを想定し、代表団が二十七日、初めて首都ダマスカスを訪問し、政権側との交渉に臨んだ。支配地域で連邦制を導入し、事実上の自治区化を目指す。クルド側によると双方は二十八日、内戦終結に向け行程表などを策定する委員会の設置で合意した。

 政治部門「シリア民主評議会」のエミーナ・ウマル共同議長は本紙の電話取材に「テロ対策で米国との協力は続いていくが、政治面での影響はない。シリア人同士で対話した方が、政治解決に導きやすい」と述べ、微妙な距離感をにじませた。

東京新聞 2018年7月29日 朝刊
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